Twitter活用事例
ヘビーユーザーの会話を起爆剤に新規/ライトユーザーを獲得!「楽天市場」のTwitter活用方程式
楽天は、インターネット・ショッピングモール「楽天市場」の大型セールイベント「楽天スーパーSALE」のプロモーション施策としてTwitter上でハッシュタグキャンペーンを実施し、新規ユーザーの開拓や、ライトユーザーの育成に成功しました。Twitter継続活用の理由とそのポイントについて、キャンペーンの主担当であり「楽天スーパーSALE」のマーケティングを担う北野彩夏氏に伺いました。
「楽天スーパーSALE」を自分ごとに感じてもらう手段としてスタート
MarkeZine編集部(以下、MZ):2020年9月にハッシュタグキャンペーンを実施して以降、継続してTwitterを活用されているとのことですが、そもそも初回のキャンペーン実施を決めたのにはどのような背景があったのですか。
楽天グループ株式会社 楽天市場マーケティング部
セールスプロモーション課 北野 彩夏氏
北野:私が担当する「楽天スーパーSALE」は、「楽天市場」の大型セールイベントです。我々は「楽天スーパーSALE」をより多くのユーザーに活用していただくことを目標に掲げており、そのためには新規ユーザーやライトユーザーをもっと巻き込んだ施策が必要だと考えていました。
様々な施策を検討する中で、最適な場所として目を付けたのがTwitterでした。
MZ:それはどうしてですか?
北野:新規ユーザーやライトユーザーがどういう人たちなのか把握するため、調査を実施したところ、彼らにとって「楽天スーパーSALE」を自分ごと化したイベントとして浸透していないことが一つの課題として挙がってきました。
どうすれば「楽天スーパーSALE」を自分ごとに捉えてもらえるか考えている中で、「楽天スーパーSALE」に参加しているヘビーユーザーの方々がTwitter上で「こんな商品を買った」「この商品を買おうと思っている」などの発信をしている様子が散見されました。
そうしたイベントに参加するメリットを、「楽天市場」が直接メッセージとして届けるのではなく、身近なフォロワーからの情報として、イベントを楽しみにしている気持ちが新規/ライトユーザーに伝われば、効果的なアプローチになるのではと考えました。
そういった理由からヘビーユーザーを起点に会話を広げることができ、アクティブユーザーも多く、拡散性も高いという特性を持つTwitterを選択しました。
狙いは会話の力で新規/ライトユーザーを巻き込むこと
MZ:ではどのようなキャンペーンを展開されているのか、お話しいただけますか。
北野:「楽天スーパーSALE」は、基本的に「プレ」と「本番」の2つで構成されています。2021年6月に実施されたものの場合、6月1日の10時から4日19時59分までがプレ期間、4日20時から11日11時59分までが本番期間でした。
ハッシュタグキャンペーンに関しても、その2段階に分けて戦略を練っています。
まず、プレ期間に指定のハッシュタグ「#楽天スーパーSALEでほしいもの」を付けたツイートをお願いし、そのツイートの数が増えるほどインセンティブとして配られるクーポンの金額が上がっていくというキャンペーンです。
クーポンは、ハッシュタグツイート件数が4万5,000超えで、最大1,000円のクーポンが配られるような設計になっています。
結果がどうなったかは本番開始のタイミングで告知して、お客様がセールで実際にクーポンを使っていただけるようにしました。
2021年6月実施時のツイート
MZ:なぜハッシュタグキャンペーンを選択したのでしょうか?
北野:プレ期間にツイートを促すことでセールの認知を高めることが意図としてあります。まだ興味を持っていない新規/ライトユーザーが、プレ期間に自発的に「楽天市場」のWebサイトに来る可能性はかなり低いことが予想できました。
そのため、ヘビーユーザーがクーポン獲得のために積極的に会話してもらえる仕組みを取り入れることで、その会話が新規/ライトユーザーに届けばと考えました。
MZ:キャンペーンの告知にはどのような手段を活用されたのでしょうか。
北野:2種類の方法で告知していきました。一つは「楽天市場」内の目立つ位置でのバナー掲載です。そしてもう一つはTwitter広告の活用です。新規層にアプローチしたかったので、ヘビーとミドルユーザーを除外したリストを作成し、そのリストに対して広告が届くような設定で運用しました。
ハッシュタグキャンペーンを継続実施した理由
MZ:2020年9月にはじまり、12月、2021年3月、6月と、4回同じ座組でキャンペーンを展開されていますが、継続活用の決め手はどこにあったのでしょうか。
北野:初回でトレンドインしたことが副次的な成果として表れ、予想以上に多くの反響をいただきました。これにより、話題化の手法として手応えを感じ、12月の継続実施を決めると、またトレンドインにつながりました。
2020年9月、初回実施時のツイート
MZ:回を重ねる中で変更・改善された部分はありますか?
北野:ツイートの総数が出たあとにクーポンを発行しているのですが、クーポンが獲得できるようになったタイミングで、キャンペーン参加者に対してリマインダーが届く機能を2回目のキャンペーンから実装しました。
クリエイティブ面での改善も続けていて、当初は「楽天市場」感を前面に押し出したものを採用していたのですが、もっとユーザーが参加イメージを持ちやすいよう人が沢山参加している様子をGIF動画で表現したクリエイティブに変更しました。
あとは初回が予想以上に好調で、準備していたインセンティブが序盤で消化されてしまったので、より多くのユーザーにキャンペーンに参加いただけるようクーポンの金額など設計を見直すといったマイナーチェンジは繰り返しています。
トレンドインでツイート量は増加、売上にも寄与
MZ:今回の施策で得られた成果を教えてください。
北野:最初の成果は、先ほどお話ししたようにトレンドインを9月、12月、3月と連続して再現できたことです。
元々の「楽天スーパーSALE」期間中のツイート量はさほど多くなかったのですが、初回実施時のキャンペーンにおいては、過去平均と比較してツイート量自体も、購買意向に関わるツイートも大幅に増加しました。
ツイート量の増加に比例するように、多くのアーンドリーチを獲得しており、非常に大きな成果が得られたと評価しています。
キャンペーンの肝はモチベーションを上げる仕掛けづくりに
MZ:キャンペーンを通じて得られた気づきや学びはありますか。
北野:今回のキャンペーンの肝は、より多くツイートしようというモチベーションを生むキャンペーン設計とし、会話の起爆剤を作ったことです。
2021年3月実施時のツイート
北野:このスキームを活用したことで、ヘビーユーザーのツイートが受け身のものでなく「自ら発信したくて行っている」ものとなり、「楽天市場」とユーザーが同じ方向を向いたキャンペーンにできたのは大きな収穫だったと思っています。
この取り組みを通じて、ライトユーザーの多くは、「会期がわからない」「欲しいものがない。もしくはわからない」という悩みを抱えていることがわかりました。
それらの悩みに対してヘビーユーザーの投稿を促すことで、ライトユーザーの理解の獲得や意向の変化、参加障壁の解消に役立つという知見が得られました。
MZ:キャンペーンで得られた会話を分析して次に活かせているのですね。
北野:はい、元々繰り広げられている会話を加味してキャンペーンを行うことで、どういう結果が得られるかの仮説を立てることができたのは、とても良かったです。
MZ:最後に、今後のTwitter活用の展望について教えてください。
北野:今回私たちが考えている以上に、会話の力を使ったアプローチが新規/ライトユーザーに有効なことがわかりました。
今後も継続して「楽天スーパーSALE」に興味を持っていただけるような会話の種を我々から提供することで、楽しいお買い物体験に関する発信や共有がユーザー間で活性化するように活用していけたらと思っています。
活用したソリューション
リーチを拡大する
情報感度が高く、価値を見出した情報を会話に繋げてくれるTwitter利用者へのリーチを最大化しましょう。
ターゲティング
Twitterのターゲティングツールを活用して、適切な利用者に適切なタイミングでリーチしましょう。