視点
ソーシャルデータがビジネスの意思決定を促進し、社会変革をもたらす方法
ソーシャルデータは、他のどの情報ソースよりも、人々が最も関心を持っているものを明らかにします。過去10年間、ソーシャルメディアアナリティクス企業のCrimson Hexagon(@crimsonhexagon)は、世界中のソーシャルネットワークを分析し、そのデータを基に、示唆に富んださまざまな調査を独自に実施してきました。
そうした理由により、Amazon、Walmart、Starbucks、NBC Universal、Netflixをはじめとする世界のトップブランド企業は、Crimsonのソーシャルメディアアナリティクスプラットフォームを利用して、オーディエンスに関する情報を入手し、効果的なソーシャルキャンペーンを構築し、重要なビジネス上の意思決定を促進しています。
しかし、ソーシャルメディアの主役は、企業やブランドよりも、人です。1兆件のソーシャルメディア投稿に人工知能を適用する大きなメリットとして、より広い視野で世界的な動向を特定できることが挙げられます。Crimsonが特定した多くのトレンドの1つは、女性が経済的、政治的な影響力を増していることです。
Crimsonは、ソーシャルデータを分析して、スーサイドスクワッドのハーレイ・クインやマテル社の新しいバービーの広範なラインアップの魅力から、アデルのファンがヒットシングル「Hello」を実際にどう思っているかまで、あらゆることを測定しました。
一方で、ソーシャルアナリティクスは、英国の女性がボディイメージの問題を克服して健康状態を改善したり、大手楽器メーカーがより多くの女性ミュージシャンにアピールしたりするのにも役立っています。他にも、米国のウィメンズマーチのような抗議行動が政治情勢に及ぼす影響の測定を行いました。
Crimsonが女性の発言の影響力が高まっていることをトラッキングした3つの方法をご紹介します。
運動を奨励
Sport England(@Sport_England)は、英国の女性があまり運動をしない理由を知りたいと考え、Crimsonのソーシャルアナリティクスプラットフォームに分析を依頼しました。英国の壮年期の女性が男性よりも運動量が大幅に少ないことはわかっていました。問題は、どうすればソーシャルメディアを使って女性のスポーツへの参加を増やすことができるかということでした。
Crimsonは、大量のツイートを分析することによって、運動量の差の背後にある主な理由が周囲の目であることを特定しました。女性らしくないとか、競争意識が強いとか思われることを心配した結果、運動量が減っていたのです。しかも、子供がいる女性は、家族の時間を犠牲にして運動しているという罪悪感を感じていました。
Crimsonの調査結果を受けて、Sport Englandは、女性がスポーツや運動に対する考え方を改めるように促し、運動量の性差の軽減に取り組むために、ハッシュタグ #ThisGirlCan を使ったソーシャルメディアと従来のキャンペーンを展開しました。
2015年1月にTV広告、ウェブサイト、フォロワーへの優しい励ましの言葉やアドバイスをツイートする専用のTwitterユーザー名(@ThisGirlCanUK)などで展開された #ThisGirlCan を約750万人が目にしました。
その影響は劇的で、すぐに変化が起こりました。キャンペーンを見た女性の3人に1人が運動量が増えたと発言したのです。#ThisGirlCan の後、ソーシャルメディアでSport Englandを話題にする英国人女性の数が大幅に増加しました。
2015年4月までには、サッカーをプレイすることに関する女性の会話の数が観戦に関する会話の数を上回り、その差は5倍以上に広がりました。同じ月に、トレーニングに関する会話が急増し、投稿数がキャンペーン前の3倍になりました。この増加にはさまざまな要因が影響していると思われますが、#ThisGirlCan が大きな影響を与えたことは明らかです。
ギターヒロインを求めて
ソーシャルメディアは、変化を続ける消費者行動への対応だけでなく、企業がより多様な市場を特定してアピールするのにも役立ちます。例として、音楽を取り上げます。音楽好きな少年のほとんどはギターヒーローになることを夢見ますが、女の子はそうとは限りません。世界大手ギターメーカーのFender Musical Instruments Corp.(@Fender)は、その状況を変えたかったので、ソーシャルチャネルの分析と、女性オーディエンスにFenderの魅力を強く伝える戦略の策定の支援をCrimsonに依頼しました。
「現在、ブランドとしての大きな目標の1つは男女の数の差をもう少し改善することです」とFenderの前デジタルブランドマーケティング、メディア、コミュニケーション、パートナーシップ担当バイスプレジデント、BJキャレッタ氏は言います。「当社のチャネルは、男性に大きく偏っています。これらのツールを使って、女性ギタリストがどこにいて、何について話し、何に関心を持ち、当社のコミュニティへの参入障壁が何かを把握しています。」
効果的な方法の1つは、既にギターの才能をオンラインで共有し、自分のオリジナルコンテンツを作成している女性のプロモーションを行うことでした。もう1つは、さまざまな年齢の女性ギタリストのコミュニティであるGirl Rock Nation(@girlrocknation)を立ち上げ、女性オーディエンス向けの厳選された楽器リストを提供することでした。
Crimson Hexagonが提供するTwitterでの会話をモニタリングする機能を使うことで、Fenderはこれまで目を向けていなかった新しい市場セグメントを開拓できました。データが、この新しいオーディエンスを興味関心に基づいて特定し、会話をトラッキングして、オーディエンスにとって最も重要なことに注力するのに役立ったのです。
Fenderは、Crimsonのプラットフォームを使って、クエリを実行し、女性オーディエンスがもっと見たいと思ったものを収集することで、エンゲージメントをさらに強化する方法についてはっきりした意見を固めることができました。
喜びを高めた行進
最後は、政治関係です。ここでは、感情分析が重要な役割を果たしています。ギターを購入する場合でも、大統領に投票する場合でも、人々がどのように感じているかを知ることで、どのように行動するかを正確に予測することができます。
たとえば、Crimson Hexagonが2016年の米国大統領選挙前に感情分析を実施したところ、ソーシャルメディアでの会話では恐怖感と嫌悪感が際立ち、感情の60%近くを占めていました。
しかし、昨年1月のウィメンズマーチの後、状況が変わったようでした。喜びの感情が急増したのです。喜びの感情を示すツイートの一部は大統領の就任と関係している可能性はあるものの、Crimsonの感情分析によると、多くはウィメンズマーチ自体に直接関係していることがわかりました。
また、Crimsonが世界の反応を調べたところ、ウィメンズマーチに関するソーシャル投稿は、ニュージーランドでは10件に1件、ノルウェーでは4件に1件、ブラジルでは3件に1件の割合でした。南極でも投稿がありました。
このイベントは、町中だけでなく、ソーシャルメディアでも行われました。前日の米国大統領就任の1.5倍を超える数のツイートやリツイートが行われたのです。参加者はこの世界的なイベントの写真、動画、意見を共有しましたが、最も広く共有された投稿は俳優のニック・オファーマン氏のものでした。
「ウィメンズマーチが開催されたのはワシントンDCでしたが、実際はソーシャルメディアが発端だったと言えるかもしれません。実のところ、ソーシャルメディア全般、特にTwitterは、ウィメンズマーチの主催者のコアメッセージの効果を高めるのに役立ちました。女性の権利は一部の人にしか影響しないニッチな問題ではありません。それは性別、国、人種にまたがる大きな問題です。」
「そして、ウィメンズマーチから数か月のうちに、この感情はTwitterで #MeToo ハッシュタグを使ってソーシャル全体にさらに広がっています。#MeToo とウィメンズマーチによって、ソーシャルメディアが単に人々が社会運動に参加できる場所ではなく、そうした活動のリーチと影響力を拡大するうえで不可欠な手段であることがはっきりと示されたのです。」
— ステファニー・ニュービー氏(Crimson Hexagon社、CEO)
世の中の考えを知る必要があるときは、ソーシャルメディアに目を向けることです。自分の仮説をテストしたり、データやトレンドの根本的な原因を把握したりしたいときは、ソーシャルメディアは非常に重要なツールとなります。そうしたデータを分析し、不要な情報を取り除いて有用な情報を取り出したいときは、Crimson Hexagonのような企業が答えを提供してくれます。